骨折手術例(その2) 骨折手術の例を見ていただくのですが、例数が多いので(その2)を別に書くことにします。
4、若いビーグルの前腕橈尺骨骨折です。自転車で運動させていて、自転車の車輪に巻き込まれてしまったという事故でした。特に胸部を強打しているわけでも ないので、当日は副木と包帯で骨折部位が動かないようにしておいて、術前検査を一通りやってから、翌日に手術をやりました。
見事なくらい橈骨と尺骨がそろって折れております。
痛そうですね。
骨プレートと骨ネジによる固定です。
前腕橈尺骨のこの部位の骨折はよほどの大型犬でもない限り橈骨だけ固定しておけば普通に治るものです。
術後2ヶ月の写真です。
さすがに骨の造成の盛んな若い犬だけあって、完全に癒合しています。
5、若い猫の右大腿骨遠位端骨折です。原因は交通事故だったと思います。
まだ可愛いい盛りの男の子でしたが、折れた大腿骨が痛々しいです。
全身状態は良好だったのですが、用心のために4日間ケージで安静を保って、外傷性心筋炎のトラブルをやり過ごしました。
術後の写真です。
2本のステンレスのピンを交差するように打ち込んで固定しました。
何で2本なのかというと、回転を防ぐためなのです。
術後約1ヶ月経過した頃の写真です。
育ち盛りの若い猫なので短期間でも骨癒合は完璧です。この例ではピンは抜きません。癒合の際に出来た過剰な骨組織は、時間が経過すると吸収されて滑らかで自然な形に再形成されていきます。
それにしても沢山食べてお腹がパンパンです。
手術をやった症例ばかりお見せしましたので、今度は手術が不要だった骨折症例をご紹介します。
それは、足の指の骨折で、折れた指が2本までの症例です。足の指が折れている場合、折れた指が1本だけだったら何にもしません。2本だったら副え木というかシャーレという形で巻いてやって、指の動きを制限してやるだけです。
この症例は、サークルに入れていたら、何かの拍子に右手の中指基節骨を骨折した4カ月令のトイプードルです。
運動制限以外何にもしないでいたら、1ヶ月後には骨膜反応が見られています。骨折線はまだ見えるのですが、これくらい癒合していれば余程激しい動きをしさえしなければ十分な強度があるものです。
因みに、この時点では歩行時の足の動きには全く異常が見られませんでした。
この症例は、やはり若いマルチーズとダックスのミックスで、ご主人が誤って後ろ足を踏んでしまったために生じた骨折です。右後ろ肢の内側2本の指の基節骨が折れているのが判ります。
肢をスプーン状の副え木とテープで巻いてやって約2ヶ月で、少し歪んではいますが大方癒合しております。この後リモデリングというか、再形成伊賀生じて歪はましになっていくのですが、この状態でも犬は全く不自由は感じておりませんでした。
以上、少ない例ではありますが、最近の骨折症例の紹介でした。いろいろな症例に対して、いろいろな方法を使って治療するのですが、当然苦手なタイプの骨折 もあります。例えば関節を含む骨折などは非常に難しいので、そんな場合にはより高度な手術を日常的にやっている医療センターとか、遠くではありますが、天 才的な技術をもって治療困難な骨折症例専門に仕事をしている神の手の持ち主に紹介させていただいたりしております。
ご高覧有り難うございました。