兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 2015 4月 12
院長ブログ

日別アーカイブ: 2015年4月12日

子犬の食事量について

もうすぐ生後4ヶ月令になろうかというウェルシュ・コーギの男の子の話しですが。

目やにが多いので診て欲しいということで来院されました。

しかし、診察台上の子を見ると、異常に痩せています。

画像ではそんなに感じられないのかも知れませんが。それは被毛で覆われているせいで。手で身体を触ってみると、背骨は立っているし、肋骨も浮いているし、骨盤も突き出ているのが感じられるのです。

「この子は食が細い(食べる量が少ない)のですか?」と訊くと。

「もっと欲しそうにするんですが。買う時にペットショップの人が『この量を与えて下さい。』と言われた量を守って与えています。」との返事でした。

一瞬。めまいを感じてしまいました。カルテの記載を見ると飼育開始が生後約3ヶ月令の時ですから。その時の食事量を厳密に守っていれば、成長と共に食事の必要量が増えて行くのが生き物の子供の原則ですから。明らかに栄養不足であります。

ペットショップの店員さんの言い方がよほどきつかったのか?言われた量が完璧なマニュアルとして受け取られてしまったのかも知れませんね。

なお、目やにが多いのも、栄養失調の結果かも知れません。

飼い主様にはそのことをお話しして理解していただき。子犬の成長に合わせた食事量の決定法をお伝えしました。

私が用いている子犬の食事量の決め方ですが。基本的に食欲の程度と便の硬さを基準に考えています。

まず、子犬が来た時には。最初はそれまで世話をしていた人に伝えられた量の食事を与えます。
子犬が与えられた食事をあっという間に食べ終えて。その数時間後のお便がしっかりと硬いものであれば。
次から、食事毎にその量を5%から10%ずつ増やして行って。ある量を超えて便の状態が軟便になったら。
そのひとつ前の食事量がその子の消化能力の限界と考えて。その量あるいはそれよりひとつ前の量を与えるようにして。
成長と共に便の状態が微妙に硬く感じられるようになったら。もう一度量を増やしてみるということを繰り返すのです。

この方法は、まず検便や駆虫でお腹に消化器性寄生虫が居ないということが大前提であります。

基本的に、よほど特殊な例でない限り。成長期の子犬に肥満を用心しなければならないということはないと思います。

なお、小型犬の場合。往々にしてペットショップの店員が、「多く食べさせると大きくなり過ぎますから注意して下さい。」と説明することがあるようですが。

ショウドッグならばいざ知らず。一般的な家庭犬の場合は体格がスタンダードの範囲内に収まることよりも。健康で知能が高くお利口な犬に育つことの方がもっと重要だと思います。

基本的に犬の体格(骨格)は、持って生まれた資質。即ち遺伝情報でプログラムされた範囲内までしか大きくなることはありません。沢山食べさせて大きく育ってしまうということは大きくなってしまう遺伝情報の持ち主だったというだけのことだと思いますし。大きく育った小型犬が家庭犬として失格だとも思いません。

人間で「大きく育ったら駄目だ。」言われるのは競馬の騎手とか体重に制限のあるボクサーくらいのものでしょうし。そんな人でも小学生の頃はしっかり食べて健康に育つようにと、ご両親は愛情を込めて食べさせていると思います。

基本的に子犬も人間と同じです。成長に応じてその時その時に最適な食事の質と量を確保して、健康で賢い良い伴侶犬に育ててやって欲しいと思います。

 

 

外猫生活の危険性

今年16才になる日本猫の女の子の話しですが。

この子は8才の頃急に元気食欲低下を訴えて来院し。血液検査で猫免疫不全ウィルス(通称猫エイズウィルス)に感染していることが判明しています。

その後、それなりに元気に自由奔放な外猫生活を謳歌しているのですが。

3日前に飼い主様が以前にも経験している膀胱炎症状を呈しているということで来院され。お薬を処方したところ。

今朝は本猫を連れて来院され。投薬した後こんな物を吐いたと。ジップロックのポリエチレン袋を出されました。

猫回虫が入ってました。

猫回虫は人間にも感染する可能性があることとか。人間でも幼児が感染すると回虫幼虫体内移行症になる可能性もあることなどお話しして。

プロフェンダースポットという滴下式の駆虫薬を猫ちゃんの首筋に垂らしてやりました。

この度の感染は、これで駆虫出来ると思いますが。

この子が活動するエリアは、回虫卵に汚染されているとせねばなりませんから。当然再感染の可能性は高いと考えられます。

同居しているお孫さんの健康のこととか考えると。猫ちゃんが外に遊びに行くことを制限することが最も有効な対策であるとは思いますが。飼い主様は猫ちゃんの自由を制限することは考えられないみたいです。

また、定期的な検便をとも思うのですが。外での排泄が習慣化しているので便の採取は不可能だとのこと。

せめて、滴下剤による定期的な駆虫をされたらどうか?とお伝えしています。プロフェンダースポットのメーカーは年に4回の定期的駆虫を推奨しております。

自由なアウトドア生活は、危険と隣り合わせです。

外出自由な猫ちゃんと外出は皆無で家の中のみでの生活の猫ちゃんとで寿命の統計を取ったところ、家の中だけでの生活の猫ちゃんの方が3年は寿命が長いという結果が出たとの新聞記事を記憶しております。
総理府でも猫の室内飼いをするようにという方針ですし。

猫は避妊去勢を実施して室内で生活させるように子猫の頃から習慣づけてやれば、出れないからといってストレスを感じることもないと思いますので。

「猫は外に出るもの」とお考えの飼い主様においては、今一度考え直していただきたいと切に思うものであります。

ではまた。