兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 2012 8月 06
院長ブログ

日別アーカイブ: 2012年8月6日

08/06 シーズ君術後の感染

6月2日に右後肢の皮膚に腫瘤というか?皮膚が不整形に肥厚して、抗生物質に反応しない病変が出来ているのを切除したシーズ君ですが。

術後の化膿止めを少し短めに処方して、術後感染が生じても早目に対応しようと、5日に途中経過を観察しました。

どうも、おかしいです。

傷の一部がジクジクと湿っていますし。何か不健康な感じです。
本犬も傷を気にしてひどく熱心に舐めようとしているようです。

こんな時には院内の細菌培養と感受性試験を試みることにしていますので、早速採材して検査に供しました。

明けて本日、検査結果が出たのを見ると。

12種類の抗菌剤を試したのが、まともに利いているのはわずかに1種類だけと、とんでもない細菌が生えていました。

検査をやって良かったです。

検査で確実に利くことが判明したお薬を処方しました。

画像は術創です。何か不健康な分泌物が出たりしていて、周辺の色も何となく良くないです。

しかし、この子の感染は、利く薬を投薬すれば予想では2日目辺りから急速に改善して行くと思われます。

で、何でそんな菌が術後に感染するのか?と言えば。この子の場合、数か月前に椎間板ヘルニアを患って、CT 検査の出来る動物病院を紹介して、そこで手術を受けたのですが、術後の経過がなかなか思わしくなく、長期に副腎皮質ステロイドホルモンを内服していたりしてたのが、何かしらの影響を及ぼした可能性もあると思います。

それと、ご家族に医療技術者とか長期にわたる抗菌剤の内服を続けている人が居る場合も、動物の身体に薬剤耐性菌が存在していることがあります。

以前の症例ですが。犬の避妊手術で術後感染が生じて、飼い主様の不興を買いながら、院内での薬剤感受性試験を行なって、何とか治し切ったことがありますが。

その飼い主様が、同居の猫の去勢手術を希望されましたので、術前に皮膚の常在菌を滅菌生理食塩液で濡らした滅菌綿棒で拭い取って、薬剤感受性試験を実施しましたところ、まさに犬の避妊手術で感染したのと同じ細菌が生えてきましたので、それに対応した抗菌剤をその猫ちゃんには最初から投与して、事なきを得たという経験があります。

動物病院で実施する手術は無菌的に執り行うことは当然のことでありますが。皮膚の常在菌については、薬剤耐性菌が存在していると、経過が悪くなることがあります。

外科手術に限らずどんな仕事の際にも、起こり得る最悪の事態を想定して機敏に対応して常に良い結果を得るよう努力して行きたいと思います。