今日は午後にジャーマンシェパードドッグの女の子の避妊手術がありました。
手術自体は普通に終わりましたが。
覚醒時に意識の戻り方が急過ぎて、気管チューブを抜こうとすると、わんこがチューブを咬み切ってしまいました。
ところが、さあ大変です。気管チューブの咬み切られた先の方がそこらに見当たりません。
となると、わんこの体内にあると考えるしかないでしょう。
頚部胸部腹部のエックス線検査を行ないました。
胸部気管が妙に真っ直ぐで、直線的になった場所には白っぽく強調された気管チューブの陰影が見られます。
これは内視鏡が無いとどうにもならないですから。市内の内視鏡を持っている動物病院に飼い主様と一緒に行くことにしました。
予め電話連絡をしておいて、午後5時頃グリーンピース動物病院の外来診療を済ませてから、内視鏡のある動物病院に行きます。
受け付けで、電話をしてある旨お伝えして。自動車の中で待っていると、盛んにゲーゲーとえづいていましたが。
何と、わんこは自力で気管チューブの断端を喀出してしまいました。
画像の赤い矢印の先にあるのが、喀出された気管チューブの断端です。
帰ってから、気管チューブの元と先とを並べてみました。左が気管の中に残ってしまった先っぽの方ですが。長さが約18センチメートルあります。さぞかし気持ち悪かったことでありましょう。
このような事故は、私の病院ではこの22年の間で初めてでしたが。行った先の動物病院の院長先生の話しによると、彼が経験したので気管チューブ断端遺残摘出が 3例あるそうですし。内視鏡学会とかに行くとこのような事例は結構多く報告されているということでした。
麻酔をかけるということは、いろいろなリスクを伴いますが。このような気管チューブの切断と断端の遺残も要注意だと、身を持って勉強することになってしまいました。
明日から、2度とこのようなことが生じないように、麻酔覚醒のスピードの調節とか、注意してやります。
今日は結果オーライで本当に有り難いことでありました。