兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の ミニチュアダックスフントの結直腸多発性炎症性ポリープ
院長ブログ

ミニチュアダックスフントの結直腸多発性炎症性ポリープ

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2才の頃より当院で健康管理のお手伝いをさせていただいている、ミニチャダックスフントの避妊済み女の子の話しです。今年で8才になります。

実は、この子は従前から免疫に関して怪しいという印象を強く持っておりました。

4才の頃に頑固な慢性嘔吐を発症しまして。内視鏡を持っている近くの先生に依頼して胃の組織生検を実施し、胃炎を患っており、炎症部位に形質細胞や好酸球が浸潤しているという所見が得られていたのです。

胃炎の方は投薬と処方食で何とかコントロール出来て。その後に発症した膀胱炎も何とか上手く管理出来ているという状態だったのですが。

5月23日に来院した時に、5日前から鮮血を混じる下痢をしているということでした。

これが、しかし、通常の下痢セットの処方では全然反応が見られず。

検便も問題無く。原虫や嫌気性菌の感染をコントロールする薬も奏功せず。

試しに与えたステロイドに対してだけかなり良好な反応だったので、大阪府立大学の内科系の先生に一度診てもらおうと飼い主様と相談していた矢先のことでした。

6月27日朝にいきなり直腸脱が生じてしまったのです。

緊急でお昼に手術を行ないました。当日予定していた猫ちゃんの避妊手術は夜に残業して行ないました。

脱出した直腸には、顆粒状の病変が多数見られます。直腸の腺癌のような超悪性の病気を予想して随分ビビリました。

病変部を切除して、縫合が終了したところです。直腸脱の手術は 一番最初に脱出した直腸が2層重なっているのをきちんと拾った支持縫合を実施して、その縫合を頼りに、内層の腸管が、断端が遊離したままお腹の中に戻ってしまわないように、丁寧な全層並置縫合を実施することが、失敗しないコツと言えばコツだと思います。

手術が終了して、直腸をお腹の中に戻してやった状態です。

手術当日に退院させました。

大学の先生のアドバイスもあり、病理検査の結果が出るまで抗菌剤以外にステロイドホルモンを控えめに使用しました。

術後の経過はすごく良好で、下痢も改善しました。

病理検査の結果は。

多発性炎症性ポリープというものでした。

この病気は、最近ミニチュアダックスフントで問題になっている免疫が関与すると言われる炎症性の疾患です。

治療は、ステロイドホルモンと免疫抑制剤の併用で実施します。丁度タイムリーに、6月30日に岡山で受講した動物臨床医学研究所の卒後教育セミナーでこの病気の解説がありました。

診断はきちんとつきましたので、後は上手く管理出来るかどうか?です。今のところ順調なので、何とかなると予想しております。

免疫の病気に負けずに、幸せに長生きして欲しいと切に願いつつ治療を遂行しております。