兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 10/12 猫の子宮蓄膿症
院長ブログ

10/12 猫の子宮蓄膿症

Share on Facebook
LINEで送る

今日の午前診には、一昨日からいきなり吐き始めたという猫の女の子が来院して来ました。

腹部触診では、あまりはっきりしなかったのですが、上腹部に何やら触るものがあります。

飼い主様に血液検査と腹部エックス線検査はやった方が良いと思うけれどもどうされますか?とお伺いを立てたところ、しばらく考えられてから、やって欲しいということでしたので。ひと通りの血液検査と腹部エックス線検査を実施しました。

 お腹の真ん中辺りに、真白く映るマスが見えます。

未避妊雌猫ですから子宮の病気か?あるいは腫瘍性の疾患か?というところですね。

血液検査では、全血球計数で白血球数の低下、とりわけ細菌と闘う好中球数の低下が目立った異常です。

それと、総ビリルビンがかなり上昇して、黄疸という感じですが、その割りにはGPTとかALPとかは上昇していません。

激甚な子宮の感染の比較的初期のものか?とも思いましたが。

それから先は、出来れば腹部エコー検査で確認したいところです。

飼い主様は、エコー検査と、その結果に基づいての試験的開腹を希望されました。

腹部エコー検査では、大きなマスは、多分子宮であり、膿が溜まった状態であろうという結果でした。

そんなわけで。その時点から前肢の静脈にカテーテルを留置して静脈輸液を開始し、午後に試験的開腹を行ないました。少し怖がりのところのある猫ちゃんでしたから、麻酔導入とか結構大変でした。

開けてみれば、予想通りに液体の充満して大きく腫大した子宮が出て来ました。

きちんと卵巣と子宮とを摘出して手術は無事に終了です。

摘出した子宮をちょんと突いて中身を確認すると、薄い膿でした。細菌培養と抗生物質感受性試験を行ないました。

これからしばらく静脈輸液を続けて、食欲が出ればその時点で退院させる予定ではあります。

ただ、ここ数日食べていないということで、血液生化学検査で総ビリルビンが3.0を越えているのが、随分プレッシャーです。

猫の場合、早ければ2日食べないだけで肝リピドーシスという肝臓の脂肪変性が急速に生じて最悪死亡してしまうこともあります。

手術は一応きちんと終了しましたが、今後の経過が上手く行くようまだまだ努力が必要だと思います。