9月8日にやる気の無いゴーヤの日記を書いてから以降、ブログの更新をサボっておりましたので、私の健康状態を気遣ってのメールとか入るようになってしまいました。
ご心配をおかけしたかとは思いますが、私自身は元気しております。
今日の症例ですが。
昨日初診で来院された12才のチワワの女の子です。高速で約30分くらいの少し遠方の街から来られました。
1年と少し前から、右耳が外耳炎になって、自宅からは少し離れた隣の町の、獣医さんが10人も働いているような大きな動物病院に通っていたのだが、治療しているにも関わらず、悪化して行って。外耳道にポリープが多発して何回か切除したのですが、もうボロボロになってしまっていて。
先日自宅の近所の動物病院に受診してみたら、「外耳炎がこじれてどうしようもないので、全耳道切除術が必要です。うちでは出来ませんので、どこか出来るところを探して行って下さい。」と言われて困っているとのことであります。
その上に、悪い右耳と同じ方の右眼も最近ひどく膿のような眼脂が出て来るようになって、白目が赤く充血して来たので、私の動物病院にかかってみようと思われたそうです。
右耳の状態は、確かにドブのような状態です。検耳鏡で覗いて見ますが、奥の方は膿のような分泌物が充満して何にも見えません。
「全耳道切除ということになると、さすがに私の動物病院でも手に負いかねますので、大阪のネオベッツVRセンターを紹介することになると思いますよ。」とお話しをしながら。
でも、一度も細菌培養と薬剤感受性試験とかの検査も実施したことも無いということですし。
とりあえずのそんな検査を行なって、その結果に基づいた投薬と処置をやってみて、少し落ち着いたところで、大きな手術が必要かどうか?判断させていただくことにしました。
昨日は細菌培養と薬剤感受性試験の材料を採取して、帰っていただいて。
今日の午前診に、検査結果が出たのを見に来ていただきました。
薬剤感受性試験の結果では、それなりに利く薬も見つかっています。
しかし、何でこじれたのか?基礎疾患は無いのか?少々疑問も感じます。
いろいろと話しを聴いているうちに、やけに水を飲んで、尿の量も異常なくらい多いという話しが出て来ました。
確かに、体形は随分太目です。
副腎皮質機能亢進症の話しとかして、基礎疾患を調べることが、急がば回れで、耳や眼の感染症を治すことに繋がるということを理解していただいて。
院内のスクリーニング検査を実施させていただきました。
血液検査の間に、眼の状態を診察して、角膜に傷が無いことを確認し、耳道洗浄と薬剤の点耳も行ないます。
約30分後に得られた血液検査の結果では、総コレステロールとアルカリフォスファターゼがそれぞれ382mg/dlと927U/Lという高値が認められました。その他の数値では、血小板数が64万7千と高値です。
血小板数は慢性感染の存在によるものだろうと思います。総コレステロールとアルカリフォスファターゼの数値は、如何にも副腎皮質機能亢進症を疑わせるものです。
しかし、飼い主様も、今日のこの結果で、これからどうなって行くのだろうか?と心配になって来ているみたいですので。
一応副腎皮質機能亢進症には二つの原因があって、その鑑別までしようと思えば今から2回ほど血液検査を行なわなければならないこと。治療はその原因によっては手術であったり、終生続く投薬であったりすることなど、いろいろ説明してさしあげて。資料もお渡しして。
次回来院する時までに、飼い主様としてどこまで突き詰めるおつもりなのか?を聴かせていただくことにして、今日のところは帰っていただきました。
今日の投薬は、薬剤感受性試験に基づいた外耳炎を治療するための内服薬と点耳薬、耳の洗浄液、結膜炎の治療のための点眼剤2種類であります。
次回来院の際には耳も眼もそれなりに改善していることと思いますが。出来れば副腎の詳しい検査をさせていただいて、チワワちゃんの今後の状態が上手く管理出来るようになったら良いと思います。