6才3ヶ月令になるミニチュアピンシャーの女の子のミニーちゃん。
22日に来院する前日から、急に嘔吐と食欲減少が生じ、同居のワンちゃんのおやつで与えていた骨を誤って飲み込んだのではないかと様子を見ていたそうなのですが。
来院当日水を飲ませたらひどく吐いたということでした。
診察台上のミニーちゃんは、何か?気分悪そうな表情で、腹部の緊張が強いように感じられます。
飼い主様に、ひと通りの血液検査と腹部エックス線検査は必要であろうとお伝えしまして。同意を得ましたので、採血とエックス線撮影を実施しました。
血液検査で気になる数値と言えば、肝機能の異常と、白血球数、特に好中球数の減少です。
腹部エックス線検査では、腹腔内に明らかに異常な陰影が見られました。
イメージとしてはお腹の中にとぐろを巻くように存在する太いチューブ状の物体という感じでしょうか。
子宮蓄膿症の疑いがあること。好中球数の減少があるということはかなり甚急性の経過を取っているであろうこと。肝機能以上は、子宮とは関連があるのか?別物の問題なのか?は今のところは不明であることなどをお伝えして。
一応腹部エコー検査でお腹の中の物体が筒状で液体を溜めているということを確認した上で。
動物看護師に緊急手術を行なう旨伝えて、午後診終了後残業して手術を行ないました。
麻酔をかけて気管挿管をし、ガス麻酔に移行します。各種モニターを装着し、術野の毛刈り消毒。術者は手術帽、マスの装着。手荒い消毒、術衣と手術用ゴム手袋の装着。
などなど大急ぎで行なって。
いざ開腹してみると、やはり大きく膨れ上がっている子宮が出て来ました。
手術は型通りきちんと終了して。覚醒も速やかでした。
術後は入院室に入ってもらい、24時間持続点滴を続けます。
手術翌日は、気分は随分回復していたようですが。まだ食欲は湧かず。
術後2日経過した時点で急に食欲が湧いて来て、普通に食べ始めましたので、静脈留置カテーテルも抜去して退院としました。
犬の子宮蓄膿症、今回も無事に治療することが出来ました。
しかし、過去には術中に心停止が来た子や、術後に回復出来ずにそのまま亡くなった子もいるわけですから。
慢心に陥ることなく謙虚に頑張って行こうと思います。